【今回の記事は東京大学宇宙線研究所附属 神岡宇宙素粒子研究施設のサポートを受けて描かせていただいております】

みんな大好きスーパーカミオカンデちゃん、その後継となるハイパーカミオカンデちゃん建設の進捗情報の第5回、タンクの上部分にあたるドームの掘削が完了しました!

第1回から第4回の成長日記はこちら。

これまでのあらすじ

鹿島建設さんが作成したハイパーカミオカンデの3D模型に説明を乗せたもの

2021年5月から作り始めたアクセス坑道とアプローチ坑道が、2022年6月にハイパーカミオカンデのタンクが作られる予定の場所にいよいよ到達!

本体空洞(ドーム部分とタンク部分)とアプローチ坑道の位置関係。

本体空洞上部のドーム部分に到達した1号アプローチ坑道を使って、2022年11月から本体空洞の掘削を始めていましたが、2023年10月にいよいよ本体空洞の上部にあたるドーム部分の掘削が完了しました!

2023年10月頃の本体空洞の状態。

2023年10月時点での本体空洞のまわりの完成状況をイラストにしたものがこちら。予定では直径68m、水深71mのハイパーカミオカンデのタンクが入るための、直径69m、高さ94mのタンクとドームの空洞を作ることになっています。今回いよいよドームが完成したので、これから下のタンク部分を掘っていくぞー!っという状況になっています。
(23.12.09 タンクのサイズについての書き方を修正しました)

タンク上部のドームの掘削が完了!

掘削が完了したハイパーカミオカンデのドーム部分。

ということで、こちらが掘削が終了したハイパーカミオカンデのドームです!とっても大きい!

以前の写真と比較してみるとよくわかるのですが、天井がとっても高くなっています。ドームの高さの21mを掘削した結果です。

ドームの下部の壁面の様子。

この写真はドームの下の方の壁面の様子。円筒の出っ張りは壁面に打ち込まれているアンカーで、中央にある箱のようなものは中にある岩盤の状態を測定するための装置を防護しています。

360度見ることができるように撮影してみたものがこちら。ぐるっとドーム全体が完成していることがわかりやすい気がします。ちなみにドーム中央の地面に見えるちょっと岩石が盛り上がった部分ですが、この岩石の下にはタンクの底にある4号アプローチ坑道に通じる縦穴が空いているそうです。約70mの穴!
(23.12.09 穴の深さについての書き方を修正しました)

ちょっとしたショート動画も撮ってみました。

純水室の掘削も完了!

純水室とタンクの位置関係。

掘削が終了したのはドーム部分だけではありません、ハイパーカミオカンデに必要な純水を供給するための部屋である純水室の掘削も完了しました!

掘削が完了した純水室のようす。

これが掘削の完了した純水室です!

純水室の中から撮影した写真。

以前の日記でもお話した通り、純水室だけでスーパーカミオカンデのタンクの容量の半分くらいのサイズがありますので、とてもとても広い!高さ17m、横幅16m、奥行き101mもあるとても大きな空間です。

2023年3月の写真と比較してみると、高さが大きく変わっています。2023年3月の時点では半分の高さしか掘っておらず、ここから同じ高さ分だけ下に掘り下げているためです。

純水室はよく見るとサイドに側溝のようなものもできていました。これがあるとぐっと部屋っぽく見えるような気がします。

360度カメラで撮影してみたものがこちら。こんな空間が神岡の山の中にあるのですから、とっても驚き。

純水室でも、ちょっとしたショート動画を撮ってみました。

いろいろな写真と動画

今回はいろいろなメディアの皆さまに向けて行われたプレスツアーにこっそりと混じって、ハイパーカミオカンデ建設現場の見学をさせて頂きました。

メディアの皆さまと一緒にアクセス坑道をマイクロバスで走っている様子。坑道はかなり整備はされていますが、それでもかなり揺れながら走っています。

坑道入口の前でメディアの質問に答えている塩澤さん。

坑道に入る前と出た後で、ハイパーカミオカンデ計画の共同代表者の一人になっている東京大学 宇宙線研究所の塩澤眞人さんがメディアの質問に答える時間が設けられていました。

道の駅「スカイドーム神岡」に併設されているカミオカラボの入口。

今回のプレスツアーの集合場所が岐阜県飛騨市にある道の駅「スカイドーム神岡」だったのですが、この道の駅に併設されているのが「ひだ宇宙科学館 カミオカラボ」。素粒子やスーパーカミオカンデのいろいろがわかっちゃうとっても素敵な施設なのですが、その入口にはこのハイパーカミオカンデちゃん成長日記のペーパーが配布されてました。見つけたら手に取って読んでみてね!

富山のぶりと岐阜の日本酒。

帰りの新幹線で食べた美味しいもの。ぶりのお寿司は富山駅で、日本酒は道の駅スカイドーム神岡で買ったものです。おいしいね✨

最後に

これからの工事

本体空洞の上部にあるドームの掘削が完了したので、次はいよいよその下のタンク部分の掘削です。

ドームにつながる通路の高さより、空洞内の高さのほうが少し下になっています。

実はすでにタンク部分の掘削は始められていて、上の写真を見てみると、ドームにつながる通路の高さに比べてドーム内の地面の方が下がっているのですが、これがタンク部分の掘削にあたります。タンク部分の掘削は上から数メートルずつ下に掘り下げていくことになっていて、73mの円筒形の空間を作る世界でも類を見ないとても大変な作業 !このタンク部分の掘削の完了は2024年度内を予定しています。
(23.12.09 タンクのサイズについての書き方を修正しました)

ちなみに掘削した時に出てくる大量の岩石の処理ですが、はじめのうちは上の1号アプローチ坑道から、ある程度まで下まで掘削したらタンクの中心に空けている穴から下に岩石を落として4号アプローチ坑道から、外に排出する予定になっています。

お礼

今回もレポートを描くにあたって、プレスツアーを主催してくださった東京大学宇宙線研究所の皆さま、ツアーをサポートしてくださった鹿島建設株式会社の皆さまには大変お世話になりました。本当にありがとうございます!

プレスツアーにご協力頂いていた鹿島建設株式会社の鈴木さん、堀さん、橋本さん+ひっぐすたん、森下さん。
掘削し終わった純水室の空洞の前で、東京大学の井下さんとひっぐすたん。
東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設 ロゴ

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https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/