今回の記事は東京大学宇宙線研究所附属 神岡宇宙素粒子研究施設のサポートを受けて描かせていただいております。

みんな大好きスーパーカミオカンデちゃん、その後継になるハイパーカミオカンデちゃんの建設予定場所に再びお伺いしてきました。

前回のレポートはこちら!

新しい坑道(トンネル)を掘ってます

ハイパーカミオカンデの水タンクのための大きな空洞を鉱山内に作るにあたって、掘った大量の岩石を鉱山の外に出す必要があります。この岩石を排出する速さはとても大事な要素で、実はハイパーカミオカンデのための大きな空洞を作る速さは、穴を掘る速さではなく、岩石を排出する速さによって決まってしまうのです。

何のための坑道?

新しく作る坑道について
とても大雑把な建設イメージ図

そこで!このような新しいハイパーカミオカンデ用の坑道を掘って、この坑道を使って岩石を外に搬出するのです。

前回のレポートではハイパーカミオカンデの設置場所の地質調査の様子をメインにレポートしてきましたが、今回はその設置場所にアクセスするための新しい坑道についてのレポートになります。

どんな坑道を作ってるの?

すごく大雑把な坑道のイメージ図

新しく作る坑道の部分をもう少し詳しく描くと、このような感じ。少し下に勾配のある坑道を約1800m、そのあとハイパーカミオカンデ建設予定場所に向けて複数のアクセス用の坑道を作り、そしてようやくハイパーカミオカンデのための空洞を作ることになります。

坑道に入ってみた

ハイパーカミオカンデの入り口予定地

前回(2020年12月)訪れたときには坑道の入り口はただのブルーシートに覆われた山肌だったのですが…

現在(2021年7月)の様子はこちら!

現在(2021.07)の坑道の入口

立派なトンネルの入り口のようなものが出来上がっていました!よくよく見ると入り口の上の部分に、当時の面影が見えるような見えないような。

坑道の中はどんな感じ?

坑道の入口

それでは坑道の中にお邪魔させていただきます!

立派な坑道ができていました!(ゆらゆらしてはいますが、4K動画になっているので大きな画面で見ると迫力がある、かもしれません。

坑道を詳しく見てみよう

坑道の中

まだ舗装はされていませんがちゃんと坑道です。途中から下り勾配になっている様子がわかります。

坑道の中

中の人(172cm)とでサイズ感を比較。掘っている岩石を運ぶトラックが通れる大きさの坑道です。

坑道の壁面

壁面には杭が打たれ、コンクリートがしっかり吹き付けられています。(ちなみにこのコンクリートは入口近くにコンクリートを作る用の場所を建設して、そこから運ばれてきています

坑道で空気を送る管

上では大きなホースのような管で、外からがんがん空気を送り込んでいます。

坑道の奥の方

先の方では作業していらっしゃいました。お邪魔しています!

2021年7月現在の坑道の長さはだいたい400mくらい。このまま掘り進めていって、約1800mの長さの坑道になる予定です。

安全第一!

坑道の入口の扉

坑道の入り口には大きな扉が。

坑道の空気や温度を監視する装置

坑道の外には坑道の酸素、一酸化炭素、硫化水素、温度のモニターがあります。とてもとても大事なモニターです。

坑道の入口の立て看板

坑道の入口にあった看板です。「ずり」とは坑道を掘ったときに出てくる岩石のことで、「ずり出し」は岩石を外に運び出すことになります。

発破!

この坑道ですが、爆薬を使って掘り進めていきます。さすがに爆薬を使っているところを見ることはできませんが、そのときの様子を外から見学させて頂きました。

そのときの写真などは残念ながら公開することは出来ないのですが、宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設で動画を作ってくださいました!

警告音やサイレン、カウントダウンがなったあと、0:32くらいのところで大きな爆発音がします。

発破前

これは発破直前の様子。入口の扉はしっかりと閉じられて、いつもは空気を送っている管もぺしゃんこになっています。

発破!

ドーン!!

管に爆風が吹き込んできたり、扉近くで土埃が立ったりで、発破のようすがわかるかと思います。

ちなみにこの1回の発破で約2mほど、最大で4mくらい掘り進められるそうです。坑道作りはとっても大変。

いろいろな写真

坑道に直接関係するお話はこのくらいなのですが、せっかくなのでいろいろな写真を載せてみておきます。

宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 サテライトオフィス

飛騨市神岡図書館の駐車場

神岡町にある宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 サテライトオフィスの窓から飛騨市神岡図書館の駐車場を撮影。青色の丸がスーパーカミオカンデ、緑色の丸がハイパーカミオカンデの大きさに対応しているそうです。改めてでっかい!

ハイパーカミオカンデの作られたあたりで取れた岩石

ハイパーカミオカンデの作られるあたりで取れた岩石(と誰かのお菓子)。

ひっぐすたん

フレームとひっぐすたん

フレームとひっぐすたん。

車内のひっぐすたん

神岡に向かう車内でのひっぐすたん。

最後に

これからのハイパーカミオカンデ建設

ハイパーカミオカンデのための大きな空洞を掘ったときに出てくる岩石を運び出すためのこの坑道は、2022年の2~3月頃に掘り終わる予定です。その後、ハイパーカミオカンデ建設予定場所にアクセスするための坑道を4方向に掘っていく予定になっています。

お礼

今回もレポートを描くにあたっては、東京大学宇宙線研究所の塩澤さん(ハイパーカミオカンデの実験代表者です)と武長さんには大変お世話になりました。お忙しいのにもかかわらず時間を割いていただき、本当にありがとうございます!

塩澤さんとひっぐすたんとひっぐすたんの中の人

最後に塩澤さん(画像右)とひっぐすたん(画像中、塩澤さんの手の中)ひっぐすたんの中の人(画像左)で記念のスリーショット。記念撮影もお付き合いくださりありがとうございました!

東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設 ロゴ

東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設のサイトはこちらから。ひっぐすたんのイラストが使われているニュートリノクイズなんかもあったりします。

https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/