クォークとかレプトン、ゲージ粒子などの素粒子たちには「重さはまったく同じなのに、電気的な性質がまったく正反対」という微妙なそっくりさんが存在します。

そんな微妙なそっくりさんのことを、反粒子と呼んでいます。基本的に素粒子の名前の前に「反」とつけるだけです。例えばプラスの電気を持つアップクォークの反粒子はマイナスの電気を持つ反アップクォーク、マイナスの電気を持つダウンクォークの反粒子はプラスの電気を持つ反ダウンクォーク、マイナスの電気を持つ電子の反粒子はプラスの電気を持つ陽電子(反電子でもいいのですがプラスの電子ということで陽電子と呼ばれることがほとんどです)といった感じです。

それじゃあ電気を持っていないニュートリノの反粒子ってどうなるの…?という疑問も出てくるかもしれません。ニュートリノと反ニュートリノが同じものなのか違うものなのか、実は今でも確実にはわかっていません。素粒子実験の人たちががんばって実験で確かめようとしてします。

こちらにニュートリノと反ニュートリノは違うものなのか、同じものなのかを調べようとする実験について少し描いてありますのでよかった覗いてみてください。

反粒子たちも普通の粒子たちと同じように、くっついたりはなれたりすることができます。アップアップダウンで陽子ができるように反アップ反アップ反ダウンで反陽子ができますし、陽子と電子で水素原子ができるように反陽子と陽電子で反水素原子ができます。粒子の世界と同じように、反粒子の世界も作ることができるのです。粒子でできた物質に対して、反粒子でできたものは反物質と呼んでいます。

そんな粒子と反粒子ですが、その2つが出会うとエネルギーを出して消える対消滅というとんでもない性質を持っています。電子と陽電子がぶつかれば対消滅を起こして消えてしまい、そのエネルギーが光などの別のものになって放出されるのです。このときのエネルギーはとてもとっても大きいもので、消えちゃった粒子たちの重さが大きければ大きいほど、大きなエネルギーが生まれます。

反対にとっても大きなエネルギーがあると、そこから粒子と反粒子が生まれる対生成なんて性質もあります。なにもないところ(エネルギーはありますけど)から粒子と反粒子が生まれるって、SFっぽくてすっごくかっこいい気がしますよね。

そんな粒子と反粒子ですが、宇宙が生まれたすぐには同じ数だけあったはずなのに、今の私たちのまわりにはなぜか粒子しかありません。実は粒子と反粒子には、電気の性質以外にも違うところがあるのかも?

それを確かめてみようとする実験のひとつが、J-PARCさんとスーパーカミオカンデさんが行っているT2K実験になります。