(LHCアトラス実験オフィシャルブログに掲載しているものの再掲です)

突然ですが、力ってなんでしょう?「絵で見て知ってしまおう物理学」第2回目の今回は前回お話しした素粒子、その素粒子どうしに働くの「力」のお話です。

素粒子に働く力といっても私達の身の回りでイメージできるような、素粒子がぶつかってぐいぐい押したり押されたり、して力を伝えているわけではありません。素粒子に働く力というのは、素粒子どうしが「あなた大好き!ねえこっち来てよー」とか「おまえ嫌い!あっちいけー」とか言い合ってる……わけでは多分ないのですが、お互いに「何か」をやり取りして、その結果、お互いに近づく力が働いたり、遠ざかる力が働いたりしています。これを素粒子物理学では「相互作用」と呼んでいたりします。

この相互作用ですが、それぞれ電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、そして重力相互作用と、全部で4つの種類があって、それぞれ違う性質をもっているんです。例えば、強い相互作用は遠くには届かないけれどとっても強い力が働く、だとか、重力相互作用はどこまでも遠くに届くけど力はとっても弱い、だとかです。

そしてそれぞれ、電磁相互作用は光子 photon(光のことです、やっとでてきた!)、弱い相互作用はウィークボソン weak boson、強い相互作用はグルーオン gluon、重力相互作用は……実はまだ見つかっていないのですが重力子 gravitonと呼んでいる粒子、がそれぞれの相互作用でやり取り(先程のたとえでいうところの「言葉」の掛け合いですね)されています。それによって、素粒子どうしがお互いに力を及ぼし合って、近づいたり離れたり姿を変えたりなど、いろいろな現象を起こしているのです。このような力を媒介する粒子たちはゲージ粒子と呼ばれていて、やはりこれも素粒子だったりします。

私たちが身の回りで「力」と聞いて思い浮かべるものも、結局のところ、今回お話しした相互作用がそれはもう積もりに積もって成り立っているんですね。

「言葉は力だ!」なあんていってたりしますが、言葉を「お互いに共通の何かを用いてコミュニケーションをとる手段」と考えれば、実は物理学的にもそれほど間違ってなかったりするのかもしれません。