【今回の記事は6/3に発売予定の「宇宙までまるわかり!素粒子の世界」の一部を抜粋して、ブログ用に再構成したものになります】

 

今回はちょっと趣向を変えて、現在行われている素粒子実験を【ひっぐすたん】なりに紹介する記事を書いてみようと思います。素粒子実験の擬人化。

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岐阜県飛騨市にある神岡鉱山。廃鉱になったこの鉱山を利用して、とてもとても有名なスーパーカミオカンデ実験が行われていることはご存知だと思うのですが、ここでは他にもいろいろな実験が行われています。ニュートリノを探す実験、重力波を検出しようとする実験などなど。今回はその中でもダークマターを探している実験のひとつで、神戸大学が中心、京都大学と東京大学宇宙線研究所が協力して行なっているNEWAGE(ニューエイジ)実験についてお話します。

ダークマター、日本語で言うと暗黒物質。なんだかSFだとかファンタジーだとかそういうものを想像してしまうようなかっこいい名前ですが、これもやっぱり立派な宇宙物理学の言葉です。ここでいう「ダーク」とは「暗い」ではなく、「見えない、わからない」という意味。つまり、ダークマターは見えなくてなんだかわからない物質のこと。そんな見えなくてよくわからないものが、宇宙全体のエネルギーの24%を占めていることがわかっています。

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そんなダークマターはどこにあるのかというと、実は意外と身近なところにあります。 私たちのいる天の川銀河も、他の銀河も、ぐるぐると回っていることは観測結果からわかっているのですが、その回転速度を重力を使って計算しようとすると、銀河にあることがわかっている物質だけではうまくつじつまを合わせることができません。足りない質量は光って見えている星たちの10倍。多少なら、誤差かも……といえるのですが、これではちょっと誤差には大きすぎます。見えないけれど質量があるなにかが、銀河のまわりに銀河を包み込む形で存在していないといけないのです。これがダークマター。「観測することができないけれど、重力は感じることができるなにか」なのです。

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地球が太陽の周りを回っているのはみなさんよーくご存知かと思うのですが、実はその太陽も銀河系の中でグルグル回っていたりします。太陽系まるごとが銀河系の真ん中を中心として、秒速200㎞以上の速さでビュンビュン動いているのです。そしてダークマターは銀河系をすっぽり包み込んでいるわけで、つまりそれは地球がダークマターの詰まっているところを秒速200㎞で走り抜けている状態。雨の日に傘もささずに全力疾走すると顔に雨が当たるのと同じように、地球にもダークマターが進行方向からビシバシあたるわけです。そうです、地球で観測されるダークマターは、ある一定の方向から飛んできていなければならないのです。

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そしてここからが私たちのニューエイジちゃんのお話。 NEWAGE実験では、このダークマターの風を感じるための実験を行なっています。検出装置の中につめた気体の原子核をダークマターがけとばせば、原子核は弾き飛ばされます。NEWAGEではその原子核の動きを調べるのです。ダークマターが「風上」から飛んできているとすれば、原子核は「風下」に飛んでいくものが当然多くなるはず。他の実験で検出しようとしているものが「ダークマターかもしれない何か」であるのに比べて、方向をいう情報を持っている分、NEWAGEは「ダークマターっぽい何か」くらいには有利です。

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NEWAGE実験も2007年から神岡鉱山で実験を開始して、現在も山ごもりしながら、ダークマターの風を感じようとがんばっています。

NEWAGE実験ホームページはこちら。 

 

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NEWAGEちゃんの勇姿(写真提供:神戸大学)

 

こっそりシリーズ化したいなんて考えているこの企画、こんな形でもよろしければ勝手に擬人化して実験の紹介をしますので、実験ご担当者様、ご連絡お待ちいたしております。

 

【そんな感じで素粒子実験を紹介してます。実験装置擬人化流行れ】

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