この世界にある物質のもとになっている素粒子「物質粒子」ですが、大きくクォークとレプトンに分けることができます。さらにそれぞれ持っている電気の大きさで2種類に、「世代」と呼ばれるグループ分けで3種類に、それぞれであわせて6種類に区別することができます。
今回は特に、そのなかのクォークのお話です。
6種類のクォークを並べてみると、このような感じになります。どれも不思議というかどうしてそうなったっていう名前がついていますが、あまり気にしないでください。物理屋さんもあまり気にしていないと思います。
電子が持っている電気の量を-1(電子の電気はマイナスです)とすると、+2/3のプラスの電気を持っているのが上にあるアップクォーク、チャームクォーク、トップクォークの3種類、-1/3のマイナスの電気を持っているのが下にあるダウンクォーク、ストレンジクォーク、ボトムクォークになります。
このクォークどうしがくっつくことで、物質のもとになるものが作られていきます。アップクォーク2個とダウンクォーク1個がくっついたものが陽子、アップクォーク1個とダウンクォーク2個がくっついたものが中性子です。このようにクォークがくっついでできたもののことをハドロン、とくに3個のクォークがくっついてできた陽子や中性子のようなもののことをバリオンとよんでいます。
クォークの基本的な知識はここまで!
今ではクォークは6種類あると知られていますが、1970年頃まではクォークはアップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォークの3種類だけと考えられていました。
そんなとき、4つめのチャームクォークの存在が予想され、そこからさらに小林誠先生と益川敏英先生が「いまのような宇宙になるには、第3世代まで、全部で6種類のクォークがないとダメないんじゃない?」という小林・益川理論を1973年に発表しました。
この予言通り、残りの3種類のクォーク(チャーム、トップ、ボトム)が発見されました。小林先生と益川先生すごい。
6種類あるクォークの重さはみんな違います。基本的に世代が後ろになるほど重くなるのですが、第3世代のトップクォークの重さはちょっと普通ではありません。なんと鉄原子3個分くらいの重さがあるのです。
アップクォークとダウンクォークがくっついてできるのが陽子と中性子、陽子と中性子がくっついてできるのが原子核、原子核のまわりを電子がまわってできるのが原子です。その原子と同じような重さを持っているのが、トップクォークです。ちょっとよくわからなくなってきます。
なぜトップクォークがこんなに重いのか、残念ながらわかっていません。もしかしたらトップクォークは素粒子ではなく、なにか知らない素粒子がくっついてできているものなのかもしれません。謎です。謎なんですが、ここに新しい素粒子物理学のきっかけが埋まっているのかもしれないのです。
素粒子はかわいい。素粒子のイラストやマンガを描いています。博士(理学)