2017年9月22日にIceCubeさんが見つけたニュートリノ、その飛んできた方向にある天体を見てみたらガンマ線(エネルギーの高い光)の強さが変化していたよっていうお話。おそらくその天体で何か変化が起こっていてその様子をニュートリノと光とで観測した、いわゆるマルチメッセンジャー天文学の成果になります。ちなみにニュートリノがトリガーとなったマルチメッセンジャーは初めて!
2017月9月22日、IceCubeさんがとてもエネルギーの高いニュートリノが宇宙から飛んできたのを見つけます。過去に作られた宇宙天体のカタログを見てみるとそこにはTXS0506+056というガンマ線(エネルギーの高い光)を出す天体があるようなので、そこから飛んできているのではないかと考えました。
IceCubeさんからの連絡を受けて、地球周回軌道でガンマ線を見ているFermiさんがLATという観測装置を使ってTXS0506+056から飛んできているガンマ線を調べてみます。するとどうもガンマ線が強くなってきている様子です。
さらにスペインのカナリア諸島で宇宙から飛んできたガンマ線が地球の大気で生み出すチェレンコフ光を観測しているMAGICさん、9月28日から10月3日の間で12時間の観測を行ってTXS0506+056の方向からガンマ線が飛んできているのを見つけました。MAGICさんが見ることのできるガンマ線はFermiさんよりもエネルギーがずっと高く、見ることのできる天体はFermiさんに比べると少ないので、MAGICさんが見た天体とIceCubeさんが見た天体が同じ確率は高そうです。
先にもいいましたが、宇宙から飛んできたニュートリノがきっかけとなって光を使った他の観測装置で同じ天体を観測するようなマルチメッセンジャーなイベントははじめてのことです。マルチメッセンジャー天文学、どんどん一般的になっていきそうですね。すごいワクワク。
今回のプレスリリースはこのあたりに。(英語です)
https://icecube.wisc.edu/news/view/586
マルチメッセンジャー天文学についてはこのあたりにも。こちらはLIGOの重力波と世界各地の光を使った天文台によるマルチメッセンジャー天文学のお話です。
IceCubeさんについての復習はこのあたりにまとめています。
【En ver.】
【2018.07.13 タイポがあったので修正しました】
素粒子はかわいい。素粒子のイラストやマンガを描いています。博士(理学)