ちょっと前に紹介したCOMETちゃんことCOMET実験。
ミュー粒子が電子だけに壊れるレアな現象を探すCOMET実験ですが、実験を準備している間に、ちょっとした別の実験をしようとしています。それが今回のDeeMeちゃんことDeeMe実験です。
DeeMe実験の基本的な目的や方法などはCOMET実験と全く同じで、J-PARCの陽子ビームを使って作ったたくさんのミュー粒子を原子核に捕まえさせて、その状態でミュー粒子が壊れる様子をたくさんたくさん観測して、そのなかから標準理論では禁止されているはずの電子だけに崩壊するというレアイベントを見つける、というものです。
DeeMe実験がCOMET実験と違うところは「陽子ビームを使って作ったパイ中間子が崩壊してミュー粒子になったところを原子核に捕まえさせて、そのミュー粒子がさらに電子に崩壊する」までのプロセスを、陽子をぶつけるターゲットの中で全て済ませてしまうというところ。ナイスアイデア!
DeeMe実験では目的としている現象が100兆回に1回でも起きれば発見できる性能を予定しています。COMET実験やアメリカで計画中のMu2e実験に比べると性能は少し控えめですが、まったく別のアプローチです。またJ-PARCではCOMET実験とは別の施設で行われるため、陽子ビームがバッティングすることもありません。COMET実験とDeeMe実験との関係は、J-PARCの特徴をとても良く活かしたものになっているのです。
これはPACMANと呼ばれている電子のエネルギーを測定する装置に使われる電磁石です。確かにパックマンみたい。
このDeeMeちゃんもDeeMe実験グループの方のご依頼でデザインさせていただきました。ありがとうございます!
素粒子はかわいい。素粒子のイラストやマンガを描いています。博士(理学)