axionのお話

(LHCアトラス実験オフィシャルブログに掲載しているものの再掲です)

みなさんはアクシオン(axion)って粒子、知っていますか?知らないですよね!
日常生活では決して出てくることはありませんけれど、宇宙の質量の25%をしめるといわれている暗黒物質の候補として、物理学の世界ではたまーに聞く名前です。今回はそんなよくわからない粒子アクシオンを、ほんの少しだけ、知ってみっちゃいましょう。

自然界は4つの力によって支配されていますが、そのうちのひとつ、強い力を考えるための理論が量子色力学(QCD)です。QCDという理論は強い力をとても上手に説明することができるのですが、それでもまだわかっていない部分があるんです。そのうちのひとつが、アクシオンを生み出すことになる強いCP問題です。

強いCP問題を説明する前に、CP対称性についてちょっとだけ。CP対称性とは、「粒子の運動の方向と電荷をひっくり返しても、物理法則がおかしなことにならない」ということです。そして、強い力ではCP対称性を保存するような実験結果しかないのに、QCDではCP対称性を破ることができるようになっています。これを強いCP問題と呼ぶんです。

この問題をなんとかするために、「Peccei-Quinn広域対称性の導入とその自発的破れ」なんてものが考え出されました。ちょっと難しいのですが、ちゃちゃっと簡単に説明すると、これによってQCDにおいてCP対称性を破る部分を消して、CP対称性を保つことができるんです。そして新しい対称性が自発的に破れることで、新しい粒子アクシオンが現れるのです。

ちょっとわかりにくいところがあるかと思いますが、「対称性が自発的に破れると新しい粒子が生まれる」というルールがある、と考えてもらえるといいかもしれませんです。対称性だとか自発的破れだとか、ちょっとまえにニュースで聞かれた方も多いと思いますが、これは、昨年ノーベル物理学賞を受賞された南部先生の「自発的対称性の破れとHiggs粒子」の関係と同じものですね。

そのようにして現れたアクシオンですが、光子と非常に弱いながらもお互いに反応するので、見つけようとする場合には、光子との反応を使ったものとなっています。特に、磁場(実は担い手は光子なんです)とアクシオンの反応によって光子を作る逆プリマコフ変換を利用した実験がいっぱいあります。

このアクシオンを見つけるために、東京大学蓑輪研究室「すみこ」とCERN「CAST」があれやこれやと競争を繰り広げているのですが、そのお話はまた別の機会に。