PANDA実験

ニュートリノ。岐阜県の神岡鉱山の中に作ったバカみたいに大きな水タンクを備えた実験装置、スーパーカミオカンデで観測しているあの素粒子です。他の素粒子に比べて見つけにくいこのニュートリノ、宇宙から飛んでくるものが多いのですが、実は原子力発電所の稼働している原子炉からも飛び出してきています。観測しにくいということは隠しにくいということの裏返し。つまりニュートリノを観測していれば、その原子力発電所が稼働しているかどうかがバッチリわかってしまうのです。素粒子の前では隠し事なんて出来ないね!

今回紹介する実験は、そんなニュートリノをトラックの荷台に載せて持ち運びできる実験装置で観測してしまおうなんていうなんとも欲張りな実験です。東京大学が行なっている実験、その名もPANDA(パンダ)。名前かわいい。

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安全な材料でニュートリノを見つけよう!
このPANDAの面白いところは、メインに使っている材料がプラスチックだということ。他にも小型の装置でニュートリノを観測しようとする実験はいろいろあるのですが、そこでメインに使われている材料が主に燃えやすい液体だったりするために、トラックに積んで運んだり原子力発電所の近くに持っていくにはちょっと危なかったりするのです。その点、プラスチックなら比較的安全。

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そんなPANDAでは、3種類あるニュートリノの1つ、電子ニュートリノの反粒子である反電子ニュートリノが観測できます。(3つあるニュートリノの説明はここらへん、反粒子の説明はここらへんからどうぞ。)これはちょうど原子炉から飛び出してくるニュートリノと同じもの。バッチリですね!

 

プラスチックの角棒でニュートリノを検出!
そんなPANDAではどのようにして反電子ニュートリノを検出するのでしょうか。PANDAの実験装置はプラスチックの角棒が寄せ集められたような形をしています。このプラスチックの角棒に反電子ニュートリノが飛び込むと、そこに含まれている陽子と衝突して逆ベータ崩壊という反応を起こして、陽電子と中性子が生まれます。陽電子はそのままそこらへんにある電子と対消滅を起こして光に変わり、もう一方の中性子はそこらへんの水素の原子核である陽子と何度も衝突を起こして速度を落としていきながら、最後には角棒に巻いた特殊なフィルムに吸収されて、そのエネルギーを光に変えます。

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この2種類の光を角棒の両端にある光電子増倍管と呼ばれる装置で捕まえて、「ニュートリノが来たよ!」って合図にするわけです。

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角棒をいっぱい束ねちゃおう!
そんなプラスチックの角棒と光電子増倍管のセットをいっぱい並べます。この並べたプラスチックの角棒にニュートリノが飛び込んでくれれば検出できる可能性がでてくるわけで、いっぱい並べれば並べただけ、ニュートリノを検出できる確率はぐぐぐっと上がっちゃいます。で、このセットを貨物コンテナに乗せてトレーラーで運べば、好きなところでニュートリノの観測を行なってしまうわけです。便利!

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現在までに36本を使って、実際に原子力発電所の近くで観測実験を行なっていたりもしています。この段階でも原子炉のオンオフはだいたい観測できていたようですので、今後の発展に期待をしてみたいところですね。

ちなみに以前、16本で試運転を行なっていたりもしたのですが、その実験の名前がLesser PANDA、レッサーパンダです。パンダとレッサーパンダって違う種類の生き物だった気がしますが…まあ細けえことは気にすんな!

 

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PANDAさんの御姿(写真提供:東京大学)

 

 

 

 

素粒子実験装置をとりあえず擬人化して紹介してしまおうなこの企画、こっそり乗っていただける実験ご担当者様、ご連絡お待ちいたしております。

 

【こんな感じで素粒子実験を紹介してます。実験装置擬人化流行れ】

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